骨董・焼物の魅力 「古伊万里」
骨董・焼物の魅力 「古伊万里」
古伊万里(こいまり)とは、その名の通り
古い伊万里焼のことを指します。
伊万里焼とは、現在の佐賀県および長崎県にあたる
肥前国で作られていた磁器のことをいい、
伊万里の磁器なかでも、特に江戸時代に作られたものを
古伊万里と呼び区別しています。
古伊万里の特徴
なめらかな肌触りと透き通るような白地が
古伊万里の特徴です。
とても強度が高く、美しく焼き上がる性質を持っていて
ヨーロッパ貴族からは「白い金」と評されるほどです。
色絵牡丹桜花鳥文鉢
その白地をさらに映えさせているのが
染付と色絵の美しさで、
様式は年代ごとに分かれます。
1610〜1630年ごろの「初期伊万里」では、
絵付けの前に素焼を行わない「生掛け」で、
中国の様式を模倣しつつ、
日本らしい素朴な味わいの染付が特徴です。
染付鶴首徳利
その後、1660〜1690年ごろの「柿右衛門様式」になると、
素地に直接絵を描いて焼き上げる「濁手」によって
赤を中心により鮮やかで丁寧な色絵となっていきます。
濁手桜文皿
1690~1740年ごろの「金襴手様式」では、
赤地に絵付けしたあとから金を焼き付け、
さまざまな色のほどこされた豪華な仕上がりとなります。
余白がないほど文様が描きこまれた絢爛豪華な作品もあり、
豊かな時代の元禄時代を反映しています。
雪輪亀甲文 桃形皿
元禄美人沈香壺
17世紀中期、それまでヨーロッパへ輸出してきた中国が
明時代末期の動乱により、輸出できなくなり、
その替わりとして、有田の焼物が輸出されるようになります。
芙蓉手VOCマーク皿
VOCマークは,ヨーロッパへの輸出を担っていた
オランダ連合東インド会社の頭文字を組合わせた社章であり、
当時の輸出品にはこのVOCの文字の入ったものが多く造られている。
VOCマークのついた古伊万里は非常に人気があり、
高値で取引されています。
皿の縁部を窓絵にし、中に文様を描く「芙蓉手」は
当時、最も好まれたスタイルで大小相当数の皿が
輸出されている。
中国から渡ってきた技術と、
日本の原料が組み合わさって作られた古伊万里。
ヨーロッパへと渡り取り入れられた様式や技術が
ふたたび日本国内で受け入れられ、
実に、多種多様な美しさを残しています。
美しさはもちろんですが、
作品が成り立った歴史や背景に目を向けると、
より一層の魅力を感じられます。
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